【MEDIA】加山雄三さんへのメッセージ寄稿
永遠の若大将、ありがとう!
人生で、嬉しいことは幾つもあるけど、「まさか!」と思うほど嬉しいことは、そんなにあるものではない。
それが、「加山雄三・祝!80歳」というスペシャルライブの特別ゲストとして、2018年1月28日「よこすか芸術劇場」に、なんと!自分がお招きにあずかったことだ。
このことを真っ先に話し、一番喜んでもらいたかったのは母だった。しかし、当時はもう高齢で、ずっと入院を余儀なくされ、その三ヶ月後に亡くなったのだが、息子として最も光栄であるその話を、病室を見舞った際に伝えても、よく理解できていなかったのが悔やまれる。
思えば、中学生になって初めてウクレレを買ってもらい、「お嫁においで」に没頭した。
次にギターを手にした時、(まず誰もが弾きたい「禁じられた遊び」はそこそこにして、それより)「旅人よ」のイントロに夢中になった。
その後、高校に進学して、そこで出逢った南こうせつ先輩と初めて「お手合わせ」した曲こそ、実はその「旅人よ」だったのだ。
それがきっかけで、部活の合唱部の中のもう一人を誘って、3人組のアマチュアバンドを組むことになる。
今思えばそれが、のちの「かぐや姫」の原形だったのかもしれない。
名曲との出逢いは、またその曲を通して、人と人を繋いでゆくのだ。
そういえば、「ひめ風」で、加山雄三さんと共演したステージ上のトークの流れで、その話になって、こうせつさんにうながされ、照れつつも、ついポロリと「旅人よ」のイントロを弾いてしまった時、「何で弾けるの!」と、にっこりしてくれた加山さんのキラキラとした瞳は「若大将」そのものであり、御歳80を過ぎた今でも、僕には永遠に眩しい。
さて、話は冒頭の「加山雄三・祝!80歳」スペシャルライブのゲストで呼ばれた時に戻るが、その日のオープニングで、僕に与えられた演出が凄かった!
僕がソロで、あのモズライトのエレキギターを携え、確か?「夜空の星」を歌い、間奏のリードギターを弾くのだ。
もう、夢心地である。
コンサートの途中、一応自分の歌のコーナーもあったような気もするが、全く憶えていない。
最後に、ステージの両側から、ハンドマイクで、二人同時に登場するシーンがあって、加山さんの歌に合わせて、追っかけたり、ハモったり。それが「旅人よ」。
いいのだろうか…と思いながら、
気付けば、大きな拍手の中にいた。
最近では、自分の歌でさえ譜面や歌詞カードを見るのに、この日、加山さんの曲を弾き、歌う僕に、そんなものが必要であるはずもなかった。
伊勢正三